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不動産売買は、いつも緊張する

トニー@COZUCHI

ー 不動産売買はいつも緊張する


不動産売買の決済現場を知る人はそんなに多くないだろう。
大きなお金が動くときは、何年経っても非常に緊張する瞬間だ。

決済現場は、売主と買主だけでなく、売主側または買主側につく金融機関の担当者、さらには多くの場合は司法書士も立ち会って行う。
決済当日は、多くの関係者が集まるのだ。

当日の流れとしては、まず司法書士が登記に関する書類に不備がないか確認し、「融資しても大丈夫ですよ」と買主側の金融機関へGOサインを出す。
そうすると、金融機関は買主の銀行口座へ融資金を振り込み、それから買主は売主へ代金を送金する。

不動産売買に関わる全ての送金が完了した後、司法書士は登記書類を法務局に持ち込み、登記手続きを当日中に完了させる。
最近は電子上で登記申請もでき、便利になったものだ。

普通に手続きすれば何も起こるはずがない不動産売買の決済現場。

でも、例えば、高額な代金を売主へ送金した後に、司法書士の書類を売主や別の第三者が奪って逃げたとする。

金融機関は多くの場合、融資当日中に抵当権という権利を登記し、融資回収の保全を図ることになっているが、そうなると「当日中に登記ができない!」なんてことになりえる。
ほぼそんなことはないが。

昔、不動産売買をしたとき、買主が非常に慎重な方で、代金を送金してから登記する間のタイムラグを最小限にするために、法務局窓口の目の前で決済したことがある。

それであれば、だれも不正を働けず、代金を支払った瞬間に法務局へ登記手続きを行うことができるからだ。

それぐらい不動産売買は、緊張感のある瞬間でもある。




ー  昔、価値があった「決済時トーク」


最近こそネット銀行を利用することで、簡単に早く送金でき、不動産売買の決済にかかる時間は大分短くなった。
昔は、半日かかることもザラにあった。

売買手続きに慣れている担当者なら、窓口で「不動産売買の送金で急いでいるので、銀行のセンターを通さず直接振り込んで下さい」など指示をする。

しかし、あまり慣れていない担当者の場合、銀行のセンターを経由する通常通りの振込手続きをとってしまうものだから、売主へ着金するまでに3時間とか平気でかかることもあった。

代金の送金が完了していないのに、解散することはできない。

その間、僕ら当事者は同じ部屋に隔離され、身動きが取れなくなってしまうのだ。
同じ部屋に大のおとながみんな集まって、じっと一緒に待たなければならない。

この時、熟練の仲介会社担当者は「決済時トーク」の引き出しをたくさん持っている。
その場にいた全員が飽きることなく話をあれよこれよと、面白可笑しく話していた。

昔はスマホなんか持っていなかったので、今みたいに時間潰しができない。
当時、この「決済時トーク」は非常に価値があるものだったのだ。

最近はみんなが少し話したら、スマホを眺めて時間をつぶす。

だいぶ決済の時間も短くなり便利にはなったが、かつての「決済時トーク」の出番が少なくなった今の風景は何だかちょっと寂しい。




ー 一日かけて数えた8億円の現金


もうひとつ、昔聞いた、印象に残っている決済現場の話を思い出した。

売主はかなりご高齢だった大地主さんで、「俺は一切銀行は信用しない!」みたいな方だった。

そのため、売買代金が8億円とかなり高額であったにも関わらず、決済当日は銀行送金ではなくその場で現金授受を行い決済することになった。

だから、銀行の担当者だけでなく、その場にいた司法書士、仲介会社担当者みんな総出で8億円の現金をひとつひとつ手で数えたのだ。
当時は今みたいに、現金を高速で数えるハイテクな機械は存在していなかったから。

誰もが8億円の現金の塊なんて見たことがない。
「大きなテーブルに山積みですよ!」みたいな話。

朝一番から開始したにも関わらず、数え終わった時は夕暮れも近い。
登記手続きを行う法務局が閉まるギリギリまで時間がかかってしまったのだ。

ヒトの手で現金を数えていたから、当然数え間違いが発生する可能性はあった。
そして、実際数え終わった時には30万円くらい金額が足りなかった。
しかし、現金を数え直す時間はもう残っていない。

もう諦めて、仲介会社が仲介手数料を割り引いて、金額のつじつまを合わせて決済は終わったそうだ。
結局、誰かが金額を数え間違えていたのか、もしくは8億円の現金はそもそも無かったのか、その真相は今でもわからない。

不動産売買の現場実務では、そんな色々なことがあるのです。


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